電源の入らないGalaxy S22+を基板修理で復旧【他社修理失敗品】

電源の入らないGalaxy S22+を基板修理で復旧【他社修理失敗品】

目次

電源の入らない症状を他社で復旧後、再度電源の入らなくなってしまった「Galaxy S22+」

今回は電源の入らない症状を同業他社で復旧後、短い期間で再度電源の入らなくなってしまった「Galaxy S22+」の基板復旧修理事例のご紹介です。

まずは店頭にて状態の確認を行います。
電源ボタンを押しても全く反応がなく、充電テスターを刺しても0A(アンペア)と全く電流が流れていません。
お客様のお話によると、前回の修理では「基板のCPU周り」に手を加えたとのことでした。
今回も同様の箇所とは限りませんが、症状から考えるにCPU周りの故障が濃厚な状態です。
それでは早速、内部の検証を進めていきます。

電源の入らないGalaxy S22+を基板修理で復旧【他社修理失敗品】-8

まずは基板の簡易的な検査を行います

まずは基板を取り出して、簡易的な検査から行います。

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回路を検査したところ、やはりCPUおよびRAMチップ周辺に異常が確認されました。
さらに基板の作業痕を確認すると、前回の修理ではチップの取り外しと再実装を試みた形跡が見られます。
このことから、実装不備が原因となっている可能性も考えられるため、改めてチップの取り外しと再実装を行っていきます。

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チップを取り外したところ、原因が判明しました

今回の機種はCPUとRAMチップが重なり合って実装されています。(2階建て実装)
そのため、工程上1枚ずつ取り外していく必要があります。

まずは温度をしっかり管理しながらヒートガンでチップの上部から熱を加え、 基板との接続部分である「はんだボール」を溶かしていきます。
溶けてきたのを確認できたら、専用の器具を使って1枚目を素早く取り外します。

続いて2枚目に取り掛かりますが、こちらは1枚目に比べて何故か貼り付きが強い状態でした。
取り外してみると、未修理状態でしか見られないアンダーフィル(樹脂製の接着剤のようなもの)がしっかりと残っていました。
どうやら前回の修理では、1枚目のRAMチップのみ取り外して再実装を行い、 2枚目のCPUには手をつけていなかったようです。

これは推測になりますが、本来の故障箇所は2枚目のCPU側のはんだ割れだったと思われます。
1枚目を再実装する際の加熱によって、CPU側の割れたはんだが一時的に繋がり、 その結果として一旦起動するようになっていた可能性があります。

しかしCPUは動作時に熱を持ちやすい箇所であり、はんだ(金属)は熱による膨張・収縮の影響を強く受けます。
そのため、一時的に点で繋がっていたはんだが再び割れてしまった…..
今回の再発はそのような経緯によるものと考えられます。

チップのリボールと再実装を行います

原因が判明したため、引き続き修理作業を進めていきます。
取り外したチップや基板の表面には、古いはんだやアンダーフィルの残りが付着しています。
これらを熱を加えながら丁寧に除去し、表面を完全にクリーニングします。
この工程を疎かにすると、次のリボール(新しいはんだボールを形成する作業)の際に きれいな球状が作れず、接触不良の原因となるため、非常に重要な作業です。
※リボールの詳細はこちらGoogle Pixel 5a 起動不良修理

清掃が完了したチップに、専用のステンシルをセットしてはんだペーストを均一に塗布します。
その後、適切な温度で熱を加え、新しいはんだボールを形成していきます。

なお、今回のGalaxy S22+は国際版モデルで、CPUには一般的なSnapdragonではなくExynosチップが採用されています。
そのため、パッドの配置パターンが異なり、専用のステンシルを使用する必要があります。

加熱が完了したらステンシルを外し、はんだが均一で綺麗な球状に形成されていることを確認します。
問題がなければ、基板への再実装を行っていきます。

チップを1枚ずつ正確な位置にセットし、ズレがないことを確認したら、熱を加えて基板と接合します。
CPUとRAMチップの2枚がしっかりと再実装されたことを確認できたら、基板の補修は完了です。

無事に修理完了です!

補修の完了した基板をフレームに組み込んで電源を入れてみます。

無事に起動しました!
各種動作も問題なく、データも全て残っていることが確認できたため、これで修理は完了です!

この度も基板復旧修理のご依頼をいただき、誠にありがとうございます。

今回のようにチップを再実装する作業は、非破壊でのはんだ接合検査ができないため(大企業ではX線などによる検査を行っている場合もあります)、仕上がりの品質は作業スタッフの技術に大きく左右されるのが現状です。
そのため当店では、長年の経験を積んだスタッフが、より高精度な修理を実現できるよう日々技術の研鑽に努めています。

他社で修理不可とされた端末でも対応可能な場合がございますので、同様の症状でお困りの際はぜひお気軽に当店までご相談くださいませ。

作業の詳細 & 修理費用

メーカーSamsung(サムスン)
シリーズGalaxy
機種名

Galaxy S22+

故障内容起動不良を同業他社で修理後、短期間で再度起動しなくなった
作業内容CPUとRAMチップのリボールと再実装
基板修理の詳細はこちら
作業時間

1日〜14日ほど
※予約状況・部品在庫によって前後します。

修理店舗

[東京]代々木駅前店 

まずはお気軽にお問い合わせ下さい!
【東京】代々木駅前店

今回もご依頼頂き誠にありがとうございました!スマートまっくすではAndroid修理をいち早くスタートし、古い機種から最新の機種まで幅広く修理対応を行っております。データそのまま迅速修理は是非当店にお任せ下さい!

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